坂田遼の無念



たった1度の・・・たった1つの突発的な行動が人生を大きく狂わせてしまうことがある
「左のおかわり君」として一世を風靡した(?)坂田遼の引退はその典型例となってしまった
彼のプロ野球人生は「成功」を掴む寸前までたどり着いていた
2014年の開幕までは
だが掴みかけた「成功」は指と指の間をすり抜けちまった
バラ色の日々よ・・・


時は2014年開幕前
坂田遼は新監督の伊原春樹からライトのレギュラーと言及されていた
前年の活躍でいよいよプロの水に慣れこれから本格化するかと大いに期待されたシーズンだった
目立つライバルすら不在の状況だった
まだ金子侑司選手は内野手だったし、熊代選手は守備だけは良いが走塁は微妙で打撃は低レベルな上にスイッチ挑戦を挫折してもいた
半ば消去法の結果だったがセンター秋山・レフト栗山が不動だった以上ライトは坂田しかいなかったのだ


だが開幕が近づいた3月25日・・・調整で出場する予定だったイースタンリーグヤクルト戦の試合前練習で「事件」は起きる
守備練習をしていた坂田はなぜか「練習中にダイビングキャッチ」という理解に苦しむ行動を敢行した
なぜ練習中にそんな危険な行動をとったのか未だに謎のままだ
守備練習でも全力でプレーする姿をアピールしたかったからなのか?
その日は朝からペヤングでも食べて気分があまりにもハイだったからつい勢いでヤッてしまったという若者にありがちな失敗なのか?
CS最終戦9回1点リードの場面で投手増田で2アウト満塁で打者柳田が打った打球がライト戦を襲う・・・的な場面でやるんならわかるが


とにかく坂田はなぜか練習中にダイビングキャッチを敢行した
そして左肩をモロに脱臼した
体重もある選手だから尚更だろう
なんでもその時ものすごく痛がって悶絶していたほどだったらしい
結局手術をするほどの重傷でありその「飛躍するはずだった」シーズンを棒に振った
まさに「犬も歩けば棒に当たる」である


坂田を失い困った伊原監督は開幕直前になって代わりのライトを見出す必要が生じてしまった
上述した熊代選手とさらに実績不足で長年2軍から出られなかった斎藤さんそして野手天功2年目のカルロス木村選手の3人の競争と言及
結局このライトは最後まで固定できず最下位スレスレで終わったチーム低迷の最大の要因となってしまった
かつての逆転満塁ホームランを期待してか米野選手が入るほどライトは誰を入れてもダメだった
坂田選手がこの年にいれば今年の山川選手の様にブレイクできていたかもしれない
本当に残念な結果に終わった


坂田選手はその怪我で大事な何かを失っちまったのか翌2015年は一軍はわずか15試合の出場に終わり打率146本塁打0打点1と壊滅的に終わった
2軍でも57試合出場191打席で打率283本塁打2打点24と大きなインパクトを残せていない
病み上がりだったこともあったがそれよりも「せっかく掴みかけていた大事な何か」を失ってしまったようにも映った・・・


だが翌年は本来の打撃センスが発揮されオープン戦では打率4割を記録した
2年越しでライトのレギュラーとして開幕スタメンに入り打順も6番も任された
奇しくも山川選手もこの開幕で7番ファーストの座を獲得していた
しかし・・・1軍では打撃が振るわなかった
同じくさっぱり打てなかった山川選手共々に早々に2軍に落とされることになる・・・
もう1軍で打つことは難しいのかと思われもした


しかし坂田選手は2軍でも諦めずバットを振り続けた
その結果2軍成績は54試合出場194打席で打率387本塁打15本打点45盗塁0と驚異的な数字を残している
2軍はレベルが低いと言っても1軍復帰前の主力投手が最終調整で投げることもあり必ずしも三流投手だけが相手とは限らない
にもかかわらずこれだけの結果を残したんだからやはり持っている打撃センスは十分1軍でも通用するということを証明した
その年は山川選手も64試合268打席で打率333本塁打22本打点64盗塁0という成績を残した
さらに富士大の後輩である外崎選手も56試合出場238打席で打率293本塁打12打点31盗塁16という成績を残した


その年のライオンズ二軍の打線は強かったのだ
森友哉選手も28試合111打席で打率309本塁打6打点21盗塁0
カルロス木村選手も56試合215打席で打率299本塁打7打点盗塁12
呉念庭選手も73試合278打席で打率311本塁打4打点34盗塁14
とにかくみんなよく打った
チーム本塁打数は2軍12球団でトップだった


しかし坂田選手はもう梯子を外されていたのかそれだけ打っても1軍にはお呼びがかからなかった
かかったのは山川選手や呉選手と言ったそれまで1軍経験があまりなかった選手達ばかり
1軍である程度起用されてきた坂田選手はもう「見放された」感もあった
外崎選手に関しては打ち始めたのが8月くらいからだったからなかなか呼ばれなかった
チームも8月くらいから多和田選手の驚異的活躍でかなり調子が良かったから下から選手を上げる必要性もなくなっていた
だが坂田選手はその前から打っていたのにお呼びもかからずもう首脳陣から期待されない選手になってしまっていたのかもしれない


9月に入りようやく昇格となったがライトにはその年盗塁王の金子侑司選手がいたことですぐに抹消されたり試合に出されなかったりが続いた
しかし出た試合はマルチ以上で終わることも多く実力通りの打力を発揮した
当時絶頂期だったホークスのバンデンハークを打ち崩し同じく昇格したばかりの外崎と仲良くお立ち台に上がったりもした
試合数を与えていけばもっと打てるだろうという気配が明らかにあった
だが非常にもそこでシーズンは終わりライオンズは3年連続Bクラスに終わる
最終戦にオオタニサンからも打てていればさらにインパクトは与えられたかもしれないが相手が化け物すぎた・・・


翌2017年には辻監督が就任した
打力より機動力がある選手を好む辻監督からは魅力がなかったようでついに徹底的に干されてしまうことになる
辻監督は木村選手田代選手そして成功した外崎選手を起用し続け熊代選手の走力すら中途半端だと見抜き全く使わなかったほど徹底していた
確かに熊代選手は鈍足ではないが盗塁をたくさんできるほどの機動力はなくその上打撃がライオンズ外野手では最低レベルでは苦しい
そして坂田選手に関してはもう「打つだけ」の選手になっていた
ならば同じように当初はあまり辻監督好みではなかったがその圧倒的力で信頼を勝ち得た山川選手のように打ちまくるしかなかった


坂田選手の2017年2軍打撃成績は72試合209打席で打率339本塁打3打点28だった
まず長打力(本塁打)が激減しているし打率こそ良いがこれも終盤一気に上げた数字で7月くらいまでは打率2割台の壁を超えられなかった
つまり「2軍でも苦戦していた」ということである
「打ちまくるしかない」立場の選手がこれではなかなか昇格の声がかからないのも無理はない
一方山川選手は2軍で39試合166打席で打率323本塁打10打点26盗塁0と前年同様に打ちまくれた
夏に昇格するとそこから1軍でも月間MVPを2か月連続で受賞するほど打ちまくり炎獅子期間には4番の座を中村選手から奪うほどブレイクした


坂田選手はいつまでたってもお呼びがかからない
炎獅子期間中にメヒア選手が離脱した
代役で上がるかと思ったが上がって来たのはなんと一度見切られた田代選手
かといって下でも53試合176打席で打率256本塁打1盗塁6程度の低次元の成績だった
打力特化型のメヒア選手が抜けたんだから当然その代役も「打力特化型」の坂田選手で良かったはずだ
しかしなぜか辻監督は田代選手を愛し続けた


だがそうして昇格した田代選手は全く試合に出ることなくまた再び抹消されそしてオフには戦力外通告をくらった
辻監督は疑う余地もないほど名将だと思うが昨年の田代選手の異常すぎるほどの過信・盲愛だけは全く理解に苦しんだ
それはともかく坂田選手はそこからさらに1週間ほど経過して8月の終わりにようやく昇格となった
しかし出場機会はほとんど与えられずスタメンで起用された試合はたった3試合でありそれすらも途中で下げられる試合もあった
センター秋山とライト外崎はほぼ不動だったしレフトも金子侑司選手がほぼレギュラーでその次に昨年不振だった栗山選手がいた状況だ
坂田選手が入る余地がほとんどなかったこともある


しかし昨年1軍での打撃成績は19打数7安打本塁打2打点4盗塁0で打率は438だった
少ない打席とはいえそれなりに結果は残したし代打で出て3ランホームランを打つこともあり左の代打の切り札としても使えそうだった
それでも辻監督は坂田選手をほとんど起用しなかった
CSも全く登場機会がなく2017年が終わった
2軍での高打率と終盤の僅かな活躍で戦力外は免れた
しかしもうこの時点で文字通り首の皮一枚状態なのは誰の目にも明らかだったし「来年オフはかなり危ない」という立場であったことは事実だ


生き残るには今年打ちまくるしかなかった
だが今年は打線が驚異的打力を発揮したことで下から打力の選手を上げる必要がほとんどなかった
さらに坂田選手の2軍成績も86試合191打席で打率278本塁打2本打点13盗塁0に終わった
今年金子侑司選手が不調で木村選手や斉藤選手も長続きしない状況でもあったがそれでも「打つだけ」の坂田選手の需要は生まれなかった
左の代打の切り札としての道もあるかと思われたが辻監督はそれも好まなかったようだ
寧ろ打率0割で打つ方では全く期待できないし守備固め走塁でもほとんど使う機会もない熊代選手を1軍に置き続けた


熊代選手はユーティリティプレーヤーと言われるが同じユーティリティーの外崎選手に比べると打力と走力が低すぎる
ショートやキャッチャーができるといっても熊代選手がショートやキャッチャーをやる状況になるなど交通事故レベルの確率でしかない
その試合だけなら外崎選手や金子侑司選手でもなんとかしのげるだろうしキャッチャーは3人もいるんだから捕手の機会などあるわけがない
走力も盗塁を期待できるほどの俊足でもない
もはやムードメーカーかつ「お笑い要員」状態でしかない熊代選手よりも坂田選手が需要がないのかは微妙である
だが球団は熊代選手を選び坂田選手を切ったのだ


笑いでポイントを稼いで生き残る選手もいれば類まれな打力センスを持ちながらチャンスを与えられずに去る選手もある
世の中は常に不条理だ
だが坂田選手も節制ができない性格・不可解なダイビングキャッチ・怪我の多さなど自業自得の部分もある
勝負の年のキャンプ前に怪我で出遅れるなど致命的だった
さらには近年のNPBはもう「打つだけ」の選手はなかなか生き残れない時代になりつつある
どのポジションでもそれなりの走力や守備力が求められ「走れない」とか「守れない」選手はよほどの打力がない限りレギュラーは難しい


もうクロマティがセンターを守れていた時代ではないのである
その時代をブチ壊した張本人が辻監督である
まさか坂田にクロマティの姿を重ねていたとは思わないが・・・
なんとなくGG佐藤とも被る選手でもある
GG佐藤も坂田もレギュラーで出れていた頃はライトの守備も悪くなかったしどちらも足は遅いわけでもなく肩も強かったんだけどね
そもそもGGの場合は緊縮財政絶頂期のライオンズに対して契約更改での態度が煙たがられたことでクビを切られたことは想像に難くない


坂田遼・・・
その打力は本当に惜しい逸材だった
セリーグならまだ通用したんじゃないかと思う(守備が難点だが)
もしかしたらパリーグでもDHで起用することで獲得する球団が出たかもしれない
来年からテラスが設置されるロッテなどは坂田のようなライナー性のホームランを打つ打者には興味があるんじゃないだろうか?
坂田はテラスにならポンポン放り込める打撃スタイルである


その意味でCSでは彼の「生き残りをかけた最後の執念」を期待して使ってほしかった
バンデンや石川相手に大いに期待できる打者だし
チャンスすら与えられずクビを切られたことが残念である
昨日戦力外を受けてのコメントはもう引退する選手のそれであり阪神の西岡らと違いとてもじゃないけど現役続行する意思が感じられなかった
そしてついに今日引退が明らかになった
「自分の中で今年いっぱいかなと思っていた」という言葉に悲壮感がにじみ出ている


ライオンズの野手層・・・特に外野の層は12球団1厚いとも言える
ここでレギュラーを勝ち取るのは並大抵のことじゃあない
ついに川越投手まで外野転向したから尚更だ
さらに戸川選手・愛斗選手・鈴木選手・高木渉選手ら期待の若手が下にはギッシリ詰まっている
どうせ飼い殺し状態になるならトレードで良い中継ぎ投手とでも交換しておけばと言う声もたくさん出ていた
チャンスも与えずに解雇されてしまう今となってはそれも良かったなと思うがまさか全くチャンスを与えずクビにするなんて思わなかった


坂田遼・・・
まるでシティーハンターみたいな名前なのにこんな早く“スナイパー”稼業を引退することになっちまうとは・・・
なぜだ・・・なぜアンタは練習中にダイビングなんてヤッちまったんだ!
シティーハンターだけに「Get Wild」とでも思ったのか?
なんでそこまでワイルドさにこだわるんだ?
スギちゃんじゃあるまいし!


そういやその頃はスギちゃんがまだ人気だった頃か
やはりスギちゃんに影響されちまったのか?
アンタは3割20本打てる逸材だったのに一発屋芸人に人生を左右されちまうなんて・・・
あのダイブは文字通りあんたのサクセスストーリーから「ダイブ」しちまったようなもんだ
こんなことがあって良いのかよ!
こんなこともアルモンテ?


しかも横浜創学館高等学校出身で秋山選手の高校時代の先輩でもある(坂田3年時に秋山1年)
そう考えるとスター性もあったのかもしれない
コーラ大好きペヤング大好きだ
活躍次第じゃペヤングのCMに起用されてもおかしくなかった逸材だったのに
ペヤングペヤング言われてるけど実際は今はもう大人になったし味覚も成長しただろうからペヤングそんな好きじゃないと思うけどさ(笑)
ペヤングはともかくこのまま終わっても良いのか・・・あまりにも惜しい才能だけによく考えてほしいなぁと思わずにはいられない



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